薄い胸板が気になるあなたへ|筋トレ初心者が5×5法で体づくりを始める方法

ベンチとバーベルが置かれた、人物のいない明るいジム(AI生成のイメージ) 筋トレ

もっと分厚い胸板があれば。
Tシャツを着た自分に、もう少し自信が持てたら。

そんな気持ちで筋トレを始めてもいいと、僕は思います。

僕が始めた理由は、かっこいい体を作って女の子にモテたかったからです(笑)。特に欲しかったのは、分厚い胸板。そして、重いものを持ち上げられる強さにも憧れていました。

そこで取り組んだのが、ベンチプレス・デッドリフト・スクワットの「BIG3」。最初の目標は、ベンチプレス100kgでした。

野球経験があり、開始時点で70kgは挙がりました。そこから約半年で100kgを達成。筋トレ歴7年の現在は145kgまで伸び、週3回トレーニングしています。

これは僕個人の経過です。今回紹介する5×5法で145kgまで伸ばしたわけではなく、同じ期間や重量をあなたの目標にする必要もありません。

ただ、最初は知識もなく、毎日ベンチプレスをするほどがむしゃらでした。これから始めるあなたには、頑張る気持ちと一緒に、頑張り方を決めるための知識も届けたい。

今回は研究をもとに、筋肉と筋力を伸ばす考え方を整理し、具体的な選択肢として「5×5法」を紹介します。

筋トレを始める理由は「かっこよくなりたい」でいい

筋トレを始めるとき、立派な理由を用意する必要はありません。

  • 胸板を厚くしたい
  • 細い腕を変えたい
  • 自分の体に自信を持ちたい

自分が変わりたいと思った理由を、最初の目標にしてみてください。

僕がうれしかったのは、周りから「でかくなったね」と言われたこと。そして、鏡を見たり、扱える重量が増えたりして、自分でも成長を感じられたことです。

僕の「約半年で100kg」は、野球経験があり、最初から70kgを挙げられた状態での経過です。同じ期間や重量を、あなたの合格ラインにする必要はありません。

胸板を厚くすることと、ベンチの重量を伸ばすことは同じ?

関連はありますが、完全に同じ目標ではありません。

目標に合わせて、成長の見方を変える
目標確かめたい変化
胸板を厚くしたい筋肉の大きさや見た目
ベンチの重量を伸ばしたい持ち上げられる最大重量
両方を目指したい見た目とトレーニング記録の両方

2023年のメタ解析では、重い負荷は最大筋力を伸ばすうえで有利でした。一方、筋肥大は比較的軽い負荷を含む複数の条件で認められています。

「重い重量が挙がらないから、筋肉もつかない」とは言えません。ただし、軽い重量を楽に動かすだけで、どんな条件でも同じ結果が出るという意味でもありません。

毎日ベンチプレスをすれば、早く変われる?

「早く変わりたいから、毎日たくさんやろう」。僕もそう考えていました。ただ、今は回数を増やす前に、負荷や量、続けられる予定を考えたいと思っています。

2026年の米国スポーツ医学会(ACSM)の見解では、137件のシステマティックレビューを統合し、筋トレによる筋力・筋肥大・身体機能の改善を確認しています。また、毎セット限界まで行うことの優位性は、一貫して確認されていませんでした。

ACSMの見解(2026年)を読む

初心者は「毎日やるかどうか」だけで正解を探すより、次を確認する方が役立ちます。

  • フォームを保てているか
  • 決めた回数を、前回より安定してできたか
  • 重量や回数を記録しているか
  • 疲労や痛みを無視していないか

ベンチプレスの5×5法とは?

5回×5セットを軸に、回数や重量を段階的に伸ばす方法です。

ただし、5×5には複数の流派があります。「5回を5セット」という名前だけでは、頻度や重量の増やし方まで決まりません。

この記事では、Pavel TsatsoulineがStrongFirstで紹介している版を取り上げます。これは実践家によるプログラム解説で、効果を比較した臨床試験ではありません。

最初から5セット全部できなくてもいい

この版では、少なくとも最初の2セットで、安定して5回できる重量を選びます。後半が4回や3回になっても、次回以降に確実にできる回数を増やし、5セットすべて5回を目指します。成功する確信のない反復を、無理に行わない考え方です。

記録は、例えば次のように残します。以下は説明用の例です。

毎回重量を増やすのではなく、まず同じ重量でできる回数の変化を見ます。「今日は合計21回。次はフォームを保って22回できるかな」と考えると、最大重量以外にも成長を見つけられます。

頻度と重量の増やし方も、同じ版でそろえる

StrongFirstの初心者・中級者向け説明では、一つの種目を2週間で3回行う例が示されています。

この版でのベンチプレスの実施例
週実施日
1週目月曜・金曜
2週目水曜

5×5を達成したら、一度負荷を落とした回を挟み、その後2〜5%増量します。軽くする回は、それまでの使用重量の80%で4回×5セットです。最大重量の80%ではありません。

5×5法の進め方|StrongFirst版
  1. STEP 1フォームとセーフティを確認ウォームアップを別に行う
  2. STEP 2同じ重量で、確実な回数を記録未達なら、次回も回数の安定を目指す
  3. STEP 35回×5セットを達成次の回は使用重量の80%で4回×5セット
  4. STEP 4その後、元の重量から2〜5%増量扱える刻みに合わせ、無理なく進める

この頻度が全員に最適という意味ではありません。複数の5×5から頻度や増量ルールを混ぜず、この版の流れとして理解してください。

元のプログラム解説を読む(StrongFirst on 5×5)

初めてのベンチでは、フォームの練習から

まったく初めてなら、5セットをこなすことより、まず動きを教わることを優先しましょう。

ジムのスタッフや指導者にフォームとセーフティの設定を確認してもらい、軽い重量から練習します。ウォームアップは本セットと別に行い、挙げられるか分からない重量には補助なしで挑戦しないでください。

5×5は、ベンチプレスに慣れた後の選択肢です。
初日から必ず行う課題ではありません。痛みが出る動作は続けず、必要に応じて指導者に確認しましょう。

計画を立てる意味は、研究でも示されている?

重量や回数を時期に応じて変えることを「期分け」と呼びます。

2022年のメタ解析では、トレーニング量をそろえた比較で、期分けした方法が最大筋力の向上に小さな優位性を示しました。一方、筋肥大には明確な差がありませんでした。

一方、より広く研究をまとめた2026年のACSMの見解では、期分けの利点は一貫して確認されていません。「複雑な計画ほど必ず伸びる」とは言えないため、初心者は難しい計画表を作る前に、重量・回数・セット数を残すことから始めてみましょう。

筋肉をつけたいなら、食事も見直そう

僕は重量が伸びない時期に、休息と栄養を見直しました。たんぱく質は、体重1kg当たり2g/日を目安にしていました。

ただし、これは僕の取り組み方です。全員が必ず2g摂らなければ筋肉がつかない、という意味ではありません。

2018年のメタ解析では、筋トレ中のたんぱく質補充によって、除脂肪量や筋力の増加に小さな上乗せが認められました。筋トレそのものの効果に比べ、補充による追加効果は小さいと解釈できます。

まずは普段の食事を振り返り、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを食べているか確認してみてください。プロテインを買うことだけを、筋トレの準備にする必要はありません。

続かない日は「一セットだけ」から

続けるために、僕が決めていたことはシンプルです。

ジムの日は、気が乗らなくてもまず行く。家トレなら、一セットだけ始める。

予定している日にやる気が出ないことはあります。そんなとき、最初から全部のメニューを思い浮かべると、面倒になってしまう。だから、最初の行動を小さくしていました。体調不良や痛みがある日まで、無理に行くという意味ではありません。

「この状況になったら、この行動をする」と決める方法は、心理学で「実行意図」と呼ばれ、目標達成を支える研究があります。ただし、一セット始めれば必ずやる気が出ると証明されたわけではありません。

Gollwitzer・Sheeranの研究レビュー(2006年)を読む

僕は大体のメニューも決めて、BIG3の各種目を週に一回は行うことを自分のルールにしていました。BIG3が全員に必須という話ではなく、自分が何をやるかを決めておく工夫として参考にしてもらえればと思います。

最初に目指すのは、100kgより「自分の成長」

ベンチプレス100kgは、目標の一つになります。でも、その数字だけが筋トレの価値ではありません。

  • 前回より動きが安定した
  • 同じ重量で、もう一回できた
  • 予定していた日にトレーニングできた

そんな変化も、記録に残してみてください。

僕は最初、知識を入れずにがむしゃらに取り組みました。今なら、練習しながら情報を学び、自分のやり方を少しずつ更新したいと思います。

繰り返しになりますが、この記事の5×5法で僕が145kgまで伸ばしたわけではありません。今回は、これから始める人がメニューの考え方を理解するための選択肢として紹介しました。

分厚い胸板が欲しい。その気持ちを、最初の一歩にしてみませんか。

まずはフォームを教わる。そして、無理のない練習を一回、記録してみる。そこから始めましょう。

参考文献・プログラムの出典

  1. Currier BS, et al. (2023). Resistance training prescription for muscle strength and hypertrophy in healthy adults: a systematic review and Bayesian network meta-analysis. British Journal of Sports Medicine, 57, 1211–1220.
  2. American College of Sports Medicine (2026). Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews. PubMed掲載論文(DOI: 10.1249/MSS.0000000000003897)。
  3. Tsatsouline P. StrongFirst on 5×5. 実践プログラムの解説。臨床試験ではありません。
  4. Moesgaard L, et al. (2022). Effects of Periodization on Strength and Muscle Hypertrophy in Volume-Equated Resistance Training Programs: A Systematic Review and Meta-analysis. PubMed(DOI: 10.1007/s40279-021-01636-1)。
  5. Morton RW, et al. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. British Journal of Sports Medicine, 52, 376–384.
  6. Gollwitzer PM, Sheeran P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analysis of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69–119.

本記事は筆者の体験と研究の紹介です。体験談と研究結果を分けて記載しています。アイキャッチはAIで生成したジムのイメージです。

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